
大切な財産(土地)保全と、将来に渡り良好な相隣関係を保つためにも、まず、ご自身で所有する土地とその境界を管理することが一番肝心です。その一つの方法として、相隣関係が良好なうちに隣接する土地との境界立会いを行い、お互いが境界につき合意できたとき、境界標を設置のうえ境界確認書(図面添付)を作成し、双方で保有することが大切です。

◇ 土地の売買には境界確認書の作成が重要 !
土地を売買するときには境界確認書を作成し、土地の売主から買主に引継ぎをすることにより、買主は取得した土地とお隣との境界トラブル予防になります。また、土地の売買後に境界トラブルが発生したとき、売主が瑕疵担保責任を負わされることがありますので、土地の売買には隣地の所有者(又は管理者)と境界の立会確認をして境界確認書を作成する事が大切です。
土砂崩れなどにより境界杭が亡失したとき、境界確認書があれば、容易に境界の復元ができます。
埋設されていた境界杭が、工事などのため位置が判らなくなったとき、境界確認書があれば、境界の復元ができます。

■ ADR (境界に紛争があり、話合いにより解決したいとき)
土地家屋調査士型のADR(民間紛争解決手続)は、当事者からの土地境界紛争の調停申立により、土地家屋調査士と弁護士が協働で、仲介役として紛争解決の調停をする民間型ADRです。なお、このADRでは所有権の範囲(所有権界)の解決を目指すもので、解決した場合には、その結果を登記にも反映することができます。
石川県土地家屋調査士会が金沢弁護士会と協働で運営する「境界問題相談センターいしかわ」が、境界トラブルを「公正」「迅速」「柔軟」に解決支援します。左のポスターをクリックすると「境界問題相談センターいしかわ」のホームページへリンク。
■ 筆界特定申請 (お隣の方が主張する境界に納得できないときなど)
筆界特定制度は、平成17年度の不動産登記法改正により平成18年1月20日から施行されました。それまでは、筆界(公法上の境界)につき紛争がある場合、裁判所に筆界確定訴訟を提訴していましたが、時間と多額な費用を要することから、お近くの法務局に対して土地家屋調査士も代理人として筆界特定申請することにより、筆界特定登記官が筆界を特定し、境界(筆界)紛争解決を図る制度です。

Q,土地の筆界とは?
A, 法務局備付地図の多くは、明治時代の地租改正のときに作られた地図で、土地の登記があり、かつ、地図にその地番がある土地の範囲を示した区画線を筆界といいます。また、土地改良事業・土地区画整理事業・地籍調査事業などで新たに地図が作成され、その地番が付された範囲を示す区画線も筆界となります。その他、土地家屋調査士が1筆の土地を測量し、分筆登記申請により加筆された線も筆界となります。なお、筆界は公法上のものであり、私人間で勝手に変更することができません。
Q,土地の境界(所有権界)とは?
A, 一般的には所有権の及ぶ範囲とされていますが、その範囲は一部を売買・交換・贈与などによって、境界(所有権界)が変わることがあります。その際には境界が変更した部分につき分筆登記及び所有権移転登記を済ませないと、法務局備付の地図にその内容が反映されません。また、後日の境界紛争にもなる可能性があります。
Q,筆界は所有権の取得時効で位置が変わるのか?
A, 筆界は公法上のものであり、民法第162条「所有権の取得時効」によっても変更しません。しかし、私法上の境界(所有権界)を含む範囲は、「所有権の取得時効」の対象になるとされています。なお、具体的なケースにつきましては、弁護士・司法書士・認定土地家屋調査士に御相談下さい。
☆ 民法162条(所有権の取得時効) 第1項 20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。第2項 10年間所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。
Q,地籍調査事業での土地境界は、誰が立会いを行い決めるのか?
A,市町が実施する地籍調査事業では、個人が所有する土地と、市や町などが所有又は管理する水路・道路との境界は、土地所有者(個人)と市町の管理者が立会い協議をして決めますが、個人同士が所有する土地の境界(民・民境界)は個人同士が立会いで決めることになります。なお、個人と個人との土地境界が決まらない場合でも、地籍調査事業は進められますが、その成果としての地図には境界は明示されません。
☆☆ 土地の境界立会いには、現地に境界杭がない場合でも地域や個人で所有する測量図などの資料が参考になりますので、お持ちの方は事前に準備することが大切です。
Q,お隣の木の枝が境界線を越えて来ているが?
A, 民法第233条第1項「隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる」。第2項「隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる」。以上が条文ですが、前記の場合は、竹木の所有者に切除の請求はできますが、所有者の承諾なく勝手に切り取ることはできません。また、後記の場合は竹木の所有者の承諾は不要と解されます。
Q,わが家のブロック塀を隣地の所有者に取壊された?
A, このような行為には、刑法261条(器物損壊罪)が適用されます。また、損壊の対象となった物が境界杭である場合は、刑法262条の2(境界損壊罪)が成立します。なお、器物損壊罪は親告罪であり、損壊により損害を受けた適法な所有者に告訴権があります。また、我が国では被害者による自立救済は禁止されています。
Q,競売物件の購入後に境界トラブルが発生?
A,土地などの競売物件を購入するときには、隣地との境界が明確かどうかを事前に調べる必要があります。まず、管轄法務局でその土地の地積測量図が備付けられているか、また、地積測量図がなくても、土地区画整理や地籍調査などが完了している地域か、その土地の所有者経歴なども調査することが大切です。もし、競売不動産を購入後に土地境界のトラブルが発生しても、裁判所には瑕疵担保責任がありません。境界紛争の解決手段としは、管轄裁判所に筆界確定又は境界確認を提訴することになります。
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